長い間接客業をやっていると理不尽な事ばかり並べるお客様にも遭遇するものです。
最初は「そういう人もいるから」と諦めてこちらは悪くない場合にも謝罪していましたが、これがそもそも間違いだとようやく気がつきました。
しここ数年で私の意識が変わってきた事もあり、謝る必要なんてないのでは?と強く疑問に感じることが多くなってきたのです。
その理由を私なりに考えた結果、こちらに非がないのにお客様のためにわざわざ謙(へりくだ)って謝る、そんな必要性は全くないということ。
- お客様の身勝手な要望を聞くYESマンは未来のクレーマーを育てているのと一緒
- カスタマーハラスメントは実在することを理解する
- 要望に答えられない場合は、必ず代替え案を用意する
何でもかんでもお客様の言いなりになる必要なんて全くありません。
定められたルールの中でいかに満足度の高いサービスを提供できるかどうか、が重要なのです。ルール無視を強いてくるようなお客様は残念ながらお客様ではないのです。
お客様の言いなりになる事を辞めなければ現場は良くならない
言いなりになってお客様の要望を全て叶えてあげたい気持ちは分かります。これは親身な対応をするスタッフに多い特徴の一つです。
間違いなくお客様は喜んでくれますからね。
しかし、何でもかんでも「YESマン」をしていると、どんどん要求はエスカレートしていきますよ、これは私の経験上、間違いありません。
私はそのようになってしまったお客様を何人も見てきましたが、販売員を対等どころか、家来のように扱ってきます。それでもヘコヘコしている販売員がいるのですから本当に信じられません。
お客様の家来みたいになって仕事が楽しいとは到底思えませんから。
最後にはワガママ言い放題になり、あなたのことを下に見てカスタマーハラスメントに変貌する恐れだってあるのですから、本当に安易にYESマンにならないでほしいです。
お客様にとってのYESマンは百害あって一利なし
お客様にとって「YESマン」な販売員は最高でしょう。多少無茶を言っても「いいですよー」となんとかしてくれる。
常識の範囲内であればいいのですが、不可能な無茶を言ってくる輩(やから)みたいな人も存在します。正直、こんなお客様に当たったら絶望でその日1日のエネルギーを全て持っていかれる勢いです。
販売員の経験者なら当たり前のことなのですが、百貨店やモールにルールがあるように、お店(ブランド)ごとにもルールがあります。
例えばですが「返品は1ヶ月以内でしか出来ない」という社内規定があるとします。極端ですが1年後に返品したいと商品を持ってきた場合、これを「はい、喜んで」と、受けることはお客様の為なのでしょうか?
本来は1ヶ月という規定があるにも関わらずルールをねじ曲げてまで「お客様のためだから」と遂行する販売員もいます(実際にいるから恐ろしい)が、お客様にとっては最高ですが、どこかでそのしわ寄せは必ずやってきます。
自店舗であればいいですが、その一回が百貨店やモール、他ブランドに迷惑をかける可能性をまず理解しなければいけません。
自分のことしか考えてないお客様に遭遇するとこうなります。
そして、自分がルールを無視してお客様のために良かれと思ってしたことが、他店舗でも同様のサービスがデフォになってしまうのです。
お客様の言いなりになる事はサービスでもなんでもなく、将来のわがままクレーマーを育てているのと同じだということ。
「無理なものは無理」「ルール内でできない事はできない」ということを、お客様にも理解してもらわないと、winwinな関係には到底なれません。
勘違いしたお客様が「お客様は神様」になってしまうだけなのです。
ルール内でできることを最大限行うことがサービスであって、要望を叶えるために言いなりになるのはサービスではありません。
カスタマーハラスメントは実在するという意識を持つ
こちらがルール内で最高のサービスを行っていても訳の分からない理由でクレームを入れてくるお客様もいます。
俗にいうカスハラってやつですね。
こちらの都合などお構いなしでクレームしてきて、明らかにこちらに非がない場合でも最終的に折れるのは大抵はお店側です。
これはもう国民性ですね。海外ならスタッフにボコボコにされてひきづられてますよ。
でも日本人は「お客様第一」なので、お店側が折れてカスハラの意見は通ってしまうのです。悲しいかなこれが現実です。
言ったもん勝ちなのです。
こんなカスハラの言うことを聞かなければならない理由は最終的にお客様の言いなりになってしまう「YESマン」に原因があると思います。
カスハラをお店に近づけない為にも百貨店やモール、お店(ブランド)で定められた枠を超えたサービスをしない事です。
くどいようですが、ルール枠外のサービスはサービスでもなんでもありません。
定められたルール内でサービスを行って満足度を高めることに意味がある
私はサービス業に10年以上、携わっていますがこれは間違いありません。
定められたルール内で最高のサービスをするから顧客満足度が上がるのです。逆に、「できない事はできない」とお客様にキチンと伝える必要があるのです。
ただ、単純にそのまま「できない」と伝えてしまうと新たな火種を生みかねません。
そこで私が徹底している方法として「○○はできないが、△△ならいかですか?」と必ず代替え案を提示すること。
そうする事で無駄な火種を生まなくて済みますし、提案が良ければ結果的に満足度も高まり、クレーマーどころかリピーターになってくれます。
無理なことを無理やり行うと、どこかで必ず摩擦が生じます。それは自店舗だけかもしれないですし、他店舗かもしれないですし、百貨店やモールを巻き込むことになるかもしれません。
結果、お客様のために無理をしたのに自分が大きな被害を被ることになるなんて事はよくある話なのです。
まとめ:お客様の言いなりになる事を辞めたらもっと働きやすい環境になるのは間違いない
ここまでをまとめると以下の通り。
- ルールを超えたYESマンは最悪
- カスハラは実在している
- できない場合は必ず代替え案を提示
最初からこちらに理不尽な「言いがかり」を付けてくるお客様はお客様ではありません。
ただの追突事故です。
逆にルールを超えるサービスは必要ないですし(そもそもそれはサービスではない)、ルールを無視する要望に応える必要性も全くありません。だって出来ないものは出来ないのですから。
わざわざこちらから、わがままばかりを言うお客様に育てる必要は全くありませんよね、自分の首がドンドン絞まっていくだけです。
お客様と対等な関係を築き、満足度を上げるのに必要なのは定められたルールを守ることと、要望に応えられない場合の「代替え案」が全てなのです。
- 定められたルール内で最高のサービスを行う
- 要望に答えられない場合は代替え案を用意しておく
簡単なことですが、上記を徹底しておけばお客様から無茶な要望がきても、こちらが無茶をすることはなくなります。
最初から追突してくるクレーマーはお客様でもなんでもないので、ちゃんと突っぱねる気概が日本で浸透していくと、もっと販売職の人たちが働きやすくなるのにな、と切に思います。